――苦しいよぉ
――お母さん
――お空が見えないよぉ
――なにも見えない
――なにも聞こえない
――なにも…なにも…
【the setting sun】
Vo1
「チヨバア様。今日こそ釣れますか?」
「ん〜どうじゃろうなぁ…がんばろうなぁ?サソリよ」
「はい!」
砂隠れの里の中にある泉には貴重な魚がいる。
水自体基調で、
そこに住む魚も大変貴重で珍しい。
よって此処に来る事が出来る人は限られている。
「チッチヨバア様!!アレ!」
「ム…何奴…サソリ下がっておれ…」
目の前には水が球体で浮かんでいた。
「(水遁…砂のモノでは無いな)」
―ボコボコ―
「何奴じゃ…っ」
―ボコボコ―
「チヨバア様…」
「大丈夫じゃサソリ、ワシがついておろう?」
―ボゴォ―
水泡の音が一際大きくなり球体は跡形も無くその場から消える
本来ならばその中に術者が何らかの動きを見せるはずなのだが
術者と思われる人物は誰もいない。
否、人物はいた。
だが明らかに様子がおかしい。
何よりも幼い。
「チヨバア様…あの子…」
「ウム…こんな幼子があのような水遁を…考えられん…」
―バシャン―
小さな音を立てて少女は泉に落ちた。
そのままブクブクと沈んでいく。
「あっ助けなくちゃ!!」
「これ!サソリいかんっっ」
「お前はここで待っておれ、ワシが引き上げよう」
手からチャクラで出来た糸を巧みに操り少女を引き上げる。
少女が敵であろうと、そうでなかろうと、
まず助けなければ話にならない。
引き上げた後、驚いたのは少女の小ささ。
そして体中の傷、切り傷だけではなく打ち身なども酷い。
「(サソリと同じくらいではないか…このような少女が何故…)」
チャクラを糸から治療に切り替えて体の傷を治していく。
「チヨバア様…その子大丈夫ですか…?」
「待っておれ…ソレっ」
「っっゲホゲホ」
「わぁ!チヨバア様スゴイ!!」
スっと手で近くに寄らないように制してゆっくり話しかける
「おぬしは何者じゃ?」
「ケホケホっっ…此処どこ???」
「ここは砂隠れの里だよ?」
「コレ!サソリ近くにくるんじゃないっ」
「ごめんなさい、チヨバア様」
「チヨおばあちゃん??サソリ??砂隠れ??お砂場なのここ?」
「何者じゃと聞いている」
「私です」
「フム…(聞かぬ名だな…)ドコの里からきたのじゃ?」
「里???うんと…うんと…」
チヨの後ろに隠れてサソリが心配そうな顔をして覗いている。
そのチヨはというと、
流石忍、殺気をに向けて放っていた。
「隠し立てしても無駄じゃ…」
「だって…だって…里って所しらないんだもん」
とうとうその殺気に負けて泣き出してしまった。
「泣いても無駄じゃ…先ほどの術、アレは水遁の類じゃろう」
「エグっっエグ…すいとう?」
「…しかし…おかしいのぅ…チャクラはあるもののこんな幼子があんな技出せるとも思えん…」
「ぐすっ…ちゃくら??」
「とりあえず、おぬしの身柄はワシが預かろう…」
「チヨバア様…その子何処かいっちゃうんですか?」
「安心せい、ワシが預かって話すだけじゃよ」
「グスっグスっ…おぁ母さん…どこぉ…」
涙が止まらない目をごしごし擦りながら周りをきょろきょろしている姿は
どうみても小さな女の子にしか見えない。
しかし、此処は砂隠れでもごく限られた人しか入れない区域。
そんな場所に少女が一人で来る事は出来るはずがない。
「(母親が送り込んだか…)」
「おかあーさん…ふぇ…エグエグ」
「こっこらサソリ!」
チヨの静止を聞かずにに近づいて
自分より少し小さいの頭に手を置いて撫でている。
「泣かないで?」
「えぐ…う…うん」
「僕はサソリ…ちゃんでいいの?」
「グスン…うん、サソリちゃん」
「…僕、男の子だよ?」
「え。そうなの?」
驚いた拍子に涙が止まる。
「(コロコロと表情の変わる娘だ…)」
「うん、よろしくね」
「よ、こっちへ来い」
ビクッッ
「僕も一緒だよ…」
「う…うん」
「とりあえず、ワシの元で監視する…いいな?」
「かんし?かんしってなに??」
「お前を見てるって事じゃよ」
「チヨおばあちゃんが私を見てるの?ずっと?」
「そうじゃ、おかしな仕草をしたら…分かっておろうな?」
軽い殺気に当てられてまた涙ぐむの手をサソリが取り
一緒に歩く。
その姿はまるで兄妹のようだと、
チヨは思った。